平成20年度事業計画

 基本的な考え方



  わが国経済は、穏やかに景気拡大を続けていると言われておりますが、昨今のサブプライムローン問題に始まる金融市場の混乱や原油高による企業収益の圧迫、個人においては、年金問題に食品などの値上がりも加わり景況感はあまり明るくなく、依然不透明感は拭えておりません。このような経済情勢に加え、中央卸売市場を取り巻く環境は、消費者ニーズの多様化、市場外流通の増大や平成21年度からの卸売手数料弾力化などにより市場間競争の激化が予想され、ますます厳しさが増すと思われます。


  さて、長年国民に親しまれた各地の有名食品に製造日や原料が偽装される等、食の安全について不安を掻き立てるような事が相次いで起こりました。企業モラルが欠落し、儲けが優先され、品質・人事・労務管理に対する認識の甘さにより、経営の視点が消費者から離れてしまった事が原因の一つと考えられます。このように、食の安全が脅かされる事件が頻発している昨今では、食の安全に対する我々の役割はより大きなものとなっております。コンプライアンス(法令遵守)を再確認して、大切なお魚のブランドに傷をつけることがないようにしなければなりません。。


  また、このようなことから、国民の「食」に対する関心は、近年、急速に高まりを見せ、又、平成20年4月からメタボリックシンドロームに焦点をあてた特定健診・特定保健指導という新しい医療制度が始まることにより「食育」に対する取り組みが注目されると思われます。このように様々な「食」に対する消費者ニーズを肌で感じ取る機会として、神戸市東部中央卸売市場では、   平成19年6月から東部市場モニタ―制度が試行実施されました。これは、東灘区連合婦人会の皆様に、場内を自由に見学していただき、東部市場を身近な食の流通拠点として理解を深めてもらうことともに、消費者の視点を今後の市場運営に活かすことを目的としています。このように、地域住民の皆様と市場関係者が一体となり、市場の活性化を図っていくことが重要だと思います。


  時代が急速に転換しつつある今、私どもがこれまでの体質のままでは、この転換期を乗り越えることは出来ません。それぞれが自主判断、自助努力をすることによって経営体質の強化を図り、健全経営を目指すことこそが、卸売市場の将来を切り開く唯一の道であり、卸売市場の機能強化を図る為のカギを握る消費の側の構造変化に、迅速かつ的確に対応するかが最大の課題になっています。今後対応を進める上で何が支障になっているのか、また、それを改革するためにはどのような方法があるのか見極めることが求められています。これは、卸売市場の将来展望を切り開くという公共的な面から見ても最も重要なことであります。


  このような激しい時代に必要なのが「改革」の二文字であり、市場の活性化、仲卸機能の充実に向けて、開設者・卸売業者・仲卸業者が三位一体となって東部市場が時代のニーズにマッチした他市場には真似のできない強みを確立することと、世の動きを常に見てそれをキャッチして新しいアイデアや意外性のあるビジネスが創造されるようネットワークを構築すべきであります。今日を生きるためには、現下の不況に耐える気力が必要であるが、明日を生き抜くためには、新しい「時代」に適した活力が不可欠であります。不況に脅えるだけでなく、明日に積極的に備えるためには、すでに始まった新しい「時代」を正確に知らねばなりません。


  本組合は、こうした厳しい経営環境の変革期に直面した中で、新たなニーズに即した組合づくりの推進と組合員の経済的地位の向上を図る為、事業活動を展開いたします。



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